2018年(平成30年)宅建試験 問題4(時効の援用)
【問4】
時効の援用に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。
1.消滅時効完成後に主たる債務者が時効の利益を放棄した場合であっても、保証人は時効を援用することができる。
2.後順位抵当権者は、先順位抵当権者の被担保債権の消滅時効を援用することができる。
3.詐害行為の受益者は、債権者から詐害行為取消権を行使されている場合、当該債権者の有する被保全債権について、消滅時効を援用することができる。
4.債務者が時効の完成の事実を知らずに債務の承認をした場合、その後、債務者はその完成した消滅時効を援用することはできない。
時効の援用とは、時効を主張することを言います。
1.消滅時効完成後に主たる債務者が時効の利益を放棄した場合であっても、保証人は時効を援用することができる。
○
2.後順位抵当権者は、先順位抵当権者の被担保債権の消滅時効を援用することができる。
✖
先順位抵当権者の権利が時効になっている場合には、後順位抵当権者がその時効を主張することができるかの問題です。
後順位者が先順位者の時効を主張して先順位者に躍り出ることはできません。
3.詐害行為の受益者は、債権者から詐害行為取消権を行使されている場合、当該債権者の有する被保全債権について、消滅時効を援用することができる。
○
詐害行為とは、差押え等を免れるために財産を他人に贈与するなどの行為を言います。
4.債務者が時効の完成の事実を知らずに債務の承認をした場合、その後、債務者はその完成した消滅時効を援用することはできない。
○
債務者が時効の完成の事実を知らなかったとしても、借りたお金の一部を返す、あるいは「借りたお金は返す」と意思表示するなどした場合、時効を主張することはできません。
問4の答え:2