宅建2020年(令和2年) 法改正の内容 民法大改正,建築基準法等

民法大改正にともない、2020年(令和2年度)の宅建試験における勉強でもその法改正を織り込んだ学習が必要になります。古いテキスト等をご使用の方は、テキスト学習に加え法改正部分を追加で勉強しておきましょう。

以下、法改正の内容と法務省及び国交省発表の関連資料リンクを掲載します。

 

 

1.保証人の保護に関する法改正

契約に際して個人が保証人になる場合に、際限のない保証(根保証)による保証人の負担を保護するため、極度額を定めない保証契約は無効となります。

そのため、例えば、賃貸借契約での保証人の欄にも必ず極度額(保証人が最高合計いくらまで保証するか)を記載する必要があります。

 

2.定型約款を用いた取引に関する法改正

定型約款を使用する場合には、定型約款を契約の内容とする旨をあらかじめ表示して取引を行った場合には、個別の条項について合意したものとみなされます。ただし、顧客の利益を害する不当な条項は認められません。

また、定型約款に変更を加える場合、それが認められる条件は「変更が顧客の利益に適合する場合」、「変更が契約の目的に反せず、変更に係る諸事情に照らして合理的な場合」に限られます。

 

3.法定利率に関する法改正

法定利率は従来の5%から3%に引き下げられます。

また、市場の金利と大きくかけ離れないようにするため、市場の金利変動に合わせて法定利率も自動的に変動する仕組みに変わります。

※法定利率:合意がない場合に適用される利率

 

4.消滅時効に関する法改正(債権)

これまでは、例えば飲食店のツケは1年を過ぎると消滅する、弁護士報酬は2年、医療報酬は3年など、ケースによって債権の消滅時効はバラバラでしたが、今回の法改正により原則5年(※最長10年)に一本化されます。

※債権者自身が自分が権利を行使できることを知らなかった場合には、権利を行使できる時から10年。知った時から5年のいずれか早く到来する日までとなります。

 

5.賃貸借 敷金に関する法改正

●貸主:賃貸借が終了すると、敷金から未払い賃料分を差し引いた残額を変換しなければなりません。

●借主:賃貸借の借主は、通常損耗による劣化を現状回復する必要がありません。ただし、通常損耗による劣化にあたらないものに関しては回復義務があります。

 

▶法務省作成資料:民法(債権法)改正資料

 

6.瑕疵担保責任から契約不適合責任へ

これまで「瑕疵担保責任」として隠れた瑕疵(欠陥)に関する買主救済手段が図られてきましたが、今改正から「契約不適合責任」に変わります。

売主は、物件を単に現況で引き渡すだけでなく、契約の内容に適合した物件を引き渡す契約上の債務を負うという考え方を前提にしています。

■従来

物件に隠れた瑕疵があれば、買主は売主に責任追及ができる。

・買主は売主に「損害賠償請求」「契約の解除」を申し出ることができる。

■改正後

種類、品質または数量に関して契約の内容に適合しないものがあれば、買主は売主に対し契約不適合責任を追及できる。

・買主は売主に「補修請求」やこれに代わる「代金減額請求」が可能になりました。また、契約内容に適合しない物を引き渡しても債務の履行を提供したことにはならないため、買主は債務不履行の一般原則どおりに「損害賠償請求」「契約の解除」を求めることができるとされています。

 

7.錯誤に関する法改正

錯誤があった場合、これまでの民法では意思表示は当然に「無効」とされましたが、改正後は、意志表示を取り消すことができるとしています。

●ただし、取り消しが認められるのは、錯誤が法律行為の目的及び取引上の社会通念に照らして重要なものであるときに限られます。

●「動機」に錯誤がある場合には、その動機が示されていたときに限り取り消しが認められます。

●重大な過失により錯誤に陥った場合には取り消しは認められません。ただし、錯誤に陥っていることを相手方が知っていた場合や、相手方も同じ錯誤に陥っていた場合には取り消すことができます。

●錯誤取り消しは、善意無過失の第三者には対抗できません。

8.配偶者居住権

配偶者が相続開始時に居住していた被相続人所有の建物を対象として、配偶者に建物の使用を認める法律で2020年4月1日から施行されます。

配偶者居住権は、配偶者が住んでいた住宅を相続できなくても、夫(または妻)の死後も同じ家に住み続けられる権利です。配偶者は所有者に賃料を支払う必要はありませんが、現状の維持に必要な修繕費等は負担する必要があります。

配偶者居住権は自動的に与えられる権利ではなく、遺言書、遺産分割協議、家庭裁判所の審判によって取得できる権利です。また、自宅が第三者との共有財産であった場合には配偶者居住権は設定できません。

※配偶者居住権も登記が必要です。登記しておらず相続した子が売却した場合、買主から退去を求められる恐れがあります。

※配偶者居住権は配偶者が終身にわたって住むことができる権利ですが、遺言、遺産分割協議、家庭裁判所の審判によって期間を定めることもできます

 

相続例:

亡くなった夫に5,000万円の住宅2,000万円の預貯金があり子供が1人だった場合

■旧法

妻→5,000万円の住宅を相続して子に1,500万円を支払う=3,500万円

子→預貯金2,000万円を相続したうえで母から1,500万円受け取る=3,500万円

■新法

妻→配偶者居住権の評価額が2,000万円だった場合、預貯金1,500万円3,500万円

子→住宅の負担付所有権3,000万円預貯金500万円3,500万円

※配偶者居住権は相続税の課税対象になります。

 

▶法務省発表資料:相続に関するルールが大きく変わります

9.建築基準法改正(建蔽率10%緩和の対象)

耐火建築物 準耐火建築物
防火地域 耐火建築物

耐火建築物と同等以上の延焼防止

性能を有する建築物

準防火地域 耐火建築物、準耐火建築物およびこれらと同等以上の延焼防止性能を有する建築物

 

■防火・準防火地域における延焼防止性能の高い建築物の技術的基準

従来:すべての壁・柱等に対し、一律に耐火性能を要求

改正後:外壁や窓の防火性能を高めることにより、内部の柱等に木材を利用できる設計が可能

 

■耐火構造等としなくてよい木造建築物の範囲の拡大

従来:高さ13m以下かつ軒高9m以下

改正後:高さ16m以下かつ3階以下

 

■防火・準防火地域の門・塀(2m超)における木材の利用拡大

従来:不燃材料とすること

改正後:一定の範囲で木材も利用可能とする

 

▶国交省発表資料:建築基準法の一部を改正する法律