宅建 2018年(平成30年) 法改正の要点と詳細

2018年10月実施予定の宅建試験に影響する法改正が出揃いましたので内容を掲載します。

以下の7つが改正のポイントになります。

※ご使用中のテキストの発行時期によっては、すでに改正内容が反映されている項目もあると思いますので、未反映の項目に関して学習を追加してください。

 

1.建物状況調査(インスペクション)制度を新たに設けたことによる改正項目

2.用途地域に新たに「田園居住地域」が追加されたことによる改正項目

3.低廉な空き家等に関する報酬限度額に関する改正項目

4.ITを活用した重要事項説明が一部可能になったことによる改正項目

5.居住用超高層建築物への固定資産税・都市計画税・不動産取得税の改正

6.港湾法の一部改正

7.水防法の一部改正

 

それではそれぞれの項目について詳しく見ていきましょう。

 

 

1.建物状況調査(インスペクション)に関する改正内容(平成30年4月1日施行)

この改正の目的は、既存住宅(中古住宅)の流通促進とリフォーム市場の活性化を狙ったもので、既存建物取引時の情報提供の充実に関する規定になります。

【改正の背景】

日本での既存住宅(中古住宅)の流通量は年間17万戸前後(2015年)です。この数字は全住宅の流通量の14.7%と、欧米諸国の1/6程度と大変低い水準にあります。そこで新築住宅を購入した方に中古住宅を選ばなかった理由をアンケート調査した結果、「隠れた不具合への心配」「耐震性・耐熱性などにおいて品質が低いイメージ」など、中古住宅の品質がわかりにくいことがネックになっていることがわかりました。そうしたことから、建物の状況調査に関係して以下の3つの事項が新たに加えられました。

建物状況調査(インスペクション)制度が設けられたことにより、新たに実施された改正の内容

1.媒介契約書面に、建物状況調査を実施する者のあっせんに関する事項を記載(第34条の2第1項)

●宅建業者は、媒介依頼者に交付する媒介契約書面に、建物状況調査を実施する者のあっせんに関する事項を記載すること。

※「あっせん」とは、建物状況調査を実施している業者に関する単なる情報提供ではなく、売主又は買主と業者の間で建物状況調査の実施に向けた具体的なやりとりが行われるように手配することが求められる。

具体的には、売主に建物状況調査の制度について説明をすること。売主にあっせんの可否を示すこと。あっせん可の場合は、売主が事業者のあっせんを希望するか確認をすること。これらの流れを踏んだのちに媒介契約書を作成し、契約書面にあっせんの有無等を記載します。

2.建物状況調査の結果の概要、建物の建築・維持保全の状況に関する書類の保存状況を重要事項として説明(第35条第1項)

●宅建業者は、重要事項説明として下記の事項を説明

建物状況調査を実施しているかどうか

※調査の実施から1年を経過していないものに限る

実施している場合における建物状況調査の結果の概要

※客観的に適正な内容のものであることが重要であり、国土交通省「既存住宅インスペクション・ガイドライン」に基づく既存住宅現況調査結果報告書の検査結果の概要と同様のものとする。

設計図書等の建物の建築・維持保全の状況に関する書類の保存の状況(売買・交換のみ)

重要事項説明書において以下の書類の有無を記載します

・建築基準法令に適合していることを証明する書類→検査済証

・新耐震基準への適合性を証明する書類→耐震基準適合証明書、固定資産税減額証明書、耐震診断の結果報告書、住宅耐震改修証明書

・新築時及び増改築時に作成された設計図書類→建築確認済証及び確認申請時の図面類

・新築時以降に行われた調査点検に関する実施報告書類→建物状況調査結果報告書、既存住宅性能評価書、定期調査報告書

 

3.37条書面に、建物の構造耐力上主要な部分等の状況について当事者の双方が確認した事項を記載(第37条第1項)

●宅建業者は、売買等の契約当事者に交付する書面(いわゆる37条書面)に、建物の構造耐力上主要な部分等の状況について、当事者の双方が確認した事項を記載することとする

 

以上、建物状況調査(インスペクション)制度に関する国土交通省による詳細な説明資料は以下のリンク先にて確認できます。

▶この改正点に関する国土交通省作成資料→📕

 

2.用途地域に新たに「田園居住地域」が追加されたことによる改正内容(平成30年4月1日施行)

用途地域には、第一種低層住居専用地域、第二種低層住居専用地域、第一種中高層住居専用地域、第二種中高層住居専用地域、第一種住居地域、第二種住居地域、準住居地域、近隣商業地域、商業地域、準工業地域、工業地域又は工業専用地域がありますが、ここに「田園住居地域」が新たに追加されました。

 

田園住居地域は、農業の利便の増進を図りつつ、これと調和した低層住宅に係る良好な住居の環境を保護するため定める地域です。

建蔽率、容積率、建築物の高さの制限は、都市計画で定められた限度を超えてはなりません。

また外壁後退距離は、都市計画で定められた限度以上でなければなりません。

道路斜線制限、北側斜線制限、日影規制、が適用されます。隣地斜線制限は田園住居地域には適用がありません。

 

3.低廉な空き家等に関する報酬の限度額に関する改正内容(平成30年1月1日施行)

空き家が社会問題化する中、特に低廉な空き家の流通促進にむけた法改正がなされました。

売買・交換の価格が400万円(税別)以下の宅地・建物がこの改正に該当します。

400万円以下の空き家の売買・交換においては、現地調査にかかる費用(人件費を含む)を従来の報酬限度額に上乗せできることになりましたただし、従来報酬額と調査費を合算した合計額が18万円(消費税別)を超えることはできません。また、売買の買主側からの報酬に調査費を上乗せすることはできません。

例)250万円の物件である場合

売主:250万円×4%+2万円=12万円。これに加えることのできる調査費の限度額は6万円ということになります。

買主:250万円×4%+2万円=12万円

合計の限度額は30万円になります。

 

交換の媒介については、高いほうの金額が400万円以下である場合に、本特例が適用されます。交換の一方が400万円を超えている場合は適用されません。

 

 

4.重要事項説明のIT活用に関する法改正の内容(平成29年10月1日施行)

平成29年10月1日より、宅地又は建物の貸借の代理又は媒介において、重要事項の説明にITを活用することが可能になりました。以下、その条件について宅建業法改正の条文を掲載します。

 宅地又は建物の貸借の代理又は媒介に係る重要事項の説明にテレビ会議等のITを活用するに当たっては、次に掲げるすべての事項を満たしている場合に限り、対面による重要事項の説明と同様に取り扱うこととする。なお、宅地建物取引士は、ITを活用した重要事項の説明を開始した後、映像を視認できない又は音声を聞き取ることができない状況が生じた場合には、直ちに説明を中断し、当該状況が解消された後に説明を再開するものとする。

①宅地建物取引士及び重要事項の説明を受けようとする者が、図面等の書類及び説明の内容について十分に理解できる程度に映像を視認でき、かつ、双方が発する音声を十分に聞き取ることができるとともに、双方向でやりとりできる環境において実施していること。

宅地建物取引士により記名押印された重要事項説明書及び貼付書類を、重要事項の説明を受けようとする者にあらかじめ送付していること。

③重要事項の説明を受けようとする者が、重要事項説明書及び添付書類を確認しながら説明を受けることができる状態にあること並びに映像及び音声の状況について、宅地建物取引士が重要事項の説明を開始する前に確認していること。

④宅地建物取引士が、宅地建物取引士証を提示し、重要事項の説明を受けようとする者が、当該宅地建物取引士証を画面上で視認できたことを確認していること。

 

5.居住用超高層建築物への固定資産税・都市計画税・不動産取得税の改正

マンションおける税金の計算において、「階層別の補正率」を加えることになりました。これにより、高層階の住戸ほど税率が高くなります。

 

階層別補正率適用の条件

高さ60mを超える建築物で、住戸が複数の階に所在している建築物であること

●居住用であること

 

改正後の計算式

課税対象面積=住戸の占有面積×階層別の補正率

★階層別補正率:1階を100%とし、1階上になるごとに10/39を加えた数値

 

固定資産税、都市計画税、不動産取得税がこの補正率により算出されます。

【階層別補正率適用の時期】

●固定資産税・都市計画税

平成29年1月2日以降に新築された居住超高層建築物(平成29年4月1日に売買契約が締結された住戸を含むものを除く)に対して課税される平成30年度以降の年度分について適用する。

●不動産取得税

平成29年4月1日以降に新築された居住用超高層建築物(平成29年4月1日以前に売買契約が締結された住戸を含むものを除く)で平成30年4月1以後に取得するものについて適用する。

 

6.港湾法の一部改正(平成29年7月8日施行)

官民連携国際旅客船受入促進協定の対象とされる民間国際旅客船受入促進施設が含まれる宅地または建物を購入等する者が、当該協定の効力を知らなかった場合、また特定港湾情報提供施設協定の対象とされる特定港湾情報提供施設が含まれる宅地又は建物を購入する者が、当該協定の効力を知らなかった場合、不測の損害を被るおそれがあることから、新たに説明すべき重要事項として位置付けられました。

 

7.水防法の一部改正(平成29年6月19日施行)

浸水被害軽減地区内の土地において、土地の掘削、盛土または切土その他土地の形状を変更する行為をしようとする者は、当該行為に着手する日の30日前までに、国土交通省令で定めるところにより、行為の種類、場所、設計または施行方法、着手予定日その他国土交通省令で定める事項を水防管理者に届け出なければならない。ただし、通常の管理行為、軽易な行為その他の行為で政令で定めるもの及び非常災害のため必要な応急措置として行う行為についてはこの限りではない。